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日付なし

 音楽の先生のマノテはけさ私のことで大層喜んでいる。私はメンデルスゾーン(底本:「メンデルスゾオン」/ドイツの作曲家、1809-1847)のE(ほ)短調コンツェルトの一部を一つも間違わないで弾いた。それから私たちはロシアの教会──三位一体教会へ行った。教会は花と葉で飾られてあった。祈りがあって、牧師が罪の許しのために一つ一つ祈った。それからひざまずいて皆祈った。彼の言ったことは私にも当てはまることであったから、私は身動きもしないで祈りに加わった。
 私が教会で本気に祈ったのはこれが二度目である。一番は新年の日であった。ミサも平凡になってしまったし、話される事柄も、人の毎日の生活、毎日の考えとは懸け離れたことである。私はミサには行くけれども祈りはしない。祈りと皆の歌う賛美歌は、私の心の中にも魂の中にも何らの感動を見いださない。これらのものは私の自由に祈りをする邪魔になるばかりであった。けれども牧師が私たちの皆のために祈ってくれる(そのとき誰も自分に当てはまる何物かを見いだす)ときのTe Deum(テ デウム(感謝の歌))は私の心を底まで動かす。
by bashkirtseff | 2004-10-19 22:30 | 1873(14歳)
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