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日付なし

 皆は食堂にいて静かに話をしている。私は勉強していることとのみ思いながら、皆は今私の頭の中をどんなものが通り過ぎているか、私がどんなことを考えているかを知らないのである。私は公爵夫人(デュセス)ド・H…にならねばならぬ。これは私の何よりの願いである。(私がどのくらい彼を愛しているかは神様が知っていらっしゃる。)でなければ、私は舞台の上で有名にならねばならぬ。けれども、このほうは前のほうほど私の興味をひかない。もちろん舞台に立って下は最下級の人間から上は主権者に至るまで全世界の尊敬を受けることは望ましいことである。けれども、いま一つのほうは! ……そうだ、私は自分の愛する人を自分のものにしたい。それがいま一つのほうの幸福である。そうして私はそのほうを選びたい。
 貴婦人(グランダーム)、公爵夫人、私は世界の有名な人たちの仲間入りをするよりは、むしろそうなって社交界に立ちたい。何となれば、有名な人になったりすると、私は別の世界に住まねばならぬだろうから。
by bashkirtseff | 2004-10-07 23:16 | 1873(14歳)
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