人気ブログランキング | 話題のタグを見る

1876.08.09(07.28)(Wed)

 私は1スウ(フランスの単位、銅貨1フランの20分の1)も持っていない、面白い境遇。エチエンヌは尊敬すべき人ではあるけれども、いつも私のもっとも弱い感情を傷つける。今朝私は非常に腹が立ったけれども、半時間ほどたってサポゲニコフの店へ行ったころには何事もなかったように笑っていた。
 ドクトル・チェルニシェフがそこに来ていた。それで私は自分の声のしゃがれたのを治してもらいたいと頼みたかったけれども、金がなかった。そうしてこの紳士は無料では何もしてくれる人ではない。真に結構な境遇である。けれども私は先に泣いたりはしたくない。先に泣いたりすると、そうなったときに十分に悪いことになるから。
 4時にニナと3人のグラースはペテルホフの停車場へと馬車で出掛けた。3人とも長いほこりよけ外とうの下は白ずくめであった。
 汽車はちょうど出るところであった。私たちは切符なしに駅員4人の保証の下に乗り込んだ。それは言うまでもなく私の白い羽根飾りとほかのグラースたちの赤いかかとに魅せられたためであった。そこで私たちはジロと私は、軍楽隊の音を聞いた軍馬のように、耳をそばだてて、目を輝かして、気を引き立てていた。……
by bashkirtseff | 2005-10-14 00:45 | 1876(17歳)
<< 日付なし 1876.08.07(07.2... >>