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日付なし

 この日記は私の全生涯を含む。私の最も平静な瞬間は、私がこれを書いている瞬間である。恐らくそれは私の唯一の静かな瞬間であろう。
 もし私が若くして死ぬならば、私はこれを焼こうと思う。けれどももし私が年取るまで生きていたならば、世間に発表されるだろう。もし私が思い通りに言ってよいなら、私は一人の女の全生涯、あらゆるものに対する彼女の全思想の写真というものが、まだ一つもないと信ずる。それは面白いものであろう。
 もし私が若くて死ぬなら、そうしてもしこの日記が運悪く焼かれなかったら、読者は言うだろう。かわいそうな子ども! 彼女は恋をしていた、それで彼女の失望も生じたのだ! と。
 人々にそう言わせるがよい。私はそれを打ち破ろうとはしない。なぜならば、私が言えば言うだけ、彼らは私を信じないだろうから。
 人類ほど卑賤な、愚昧(ぐまい)な、不純なものが何かあるだろうか? 確かに! 何物もない! ……人類は堕落のために造られたのだ。……おや、私は人類の堕落のことを言おうとしていたのだ。
 朝の3時である。叔母の言うところによると、私は起きていても何にもならないそうだ。
 ああ! 私は待ち遠しい。私のときは来るだろう。私はそれを信じたい。けれどもそれは決して来ないだろう。私はただ待つだけである……。いつまでも待って……待って……待って……いるだけである! ……
 私は怒っている。泣かなかった。私は床の飢えに横たわらなかった。私は落ち着いている。それは悪い印である。怒り狂う方がまだよい。
by bashkirtseff | 2004-12-23 15:30 | 1875(16歳)
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