人気ブログランキング | 話題のタグを見る

日付なし

 そうしてこれは実際神様の神聖なるお恵みを証拠立てる。なぜなれば、もし私がこの世界の嫌悪に完全に引き込まれてあるときには、上なる天にはただ神様、下なる地にはただ私を見るであろう。この信念は私に一層の力を与える。私は平凡なものにはただ触れるのみで、彼らの上に超越する。そうして多くの飢えた犬のように、お互い同士戦ったり、むさぼったり、きれぎれに裂いたりする人たちのためを思って、その卑劣を気にしないのが私の幸福だと考えるであろう。
 言うことはこれで十分である! 何のために私は自分を高揚しているのだろう? またどういう風に? おお! 幻影! ……
 私は精神的にますます高く向上する。私の魂は偉大である。私は無限大のことが出来る。しかしそれが何になるだろう? 私が世の中から知られない、薄暗い隅に生きている以上は!
 今では私は、私の同類の生物を真から悲しんでいる! けれども私は彼らを軽蔑はしない。反対に彼らを求める。彼らなしでは世界は空虚である。けれども、けれども──私は彼らの真価において彼らを評価する。そうして彼らを有用にしたいと思う。
 多いということそれはすべてである。私が気にするのは少数の優れた人々である。私はその確かな勝利を世界に期待する。
 それを考えると……あの永遠の倦怠(けんたい)であるが、しかしどうしても必要である……我々をして待たしめよ! と言う言葉に戻らねばならぬ。……ああ! 私にはこの待つということがどんなに難しいことだか、それが人々に分かってくれさえしたら!
 けれども私は生活を愛する。その苦悩を、その快楽と同様に愛する。私は神を愛する。そうして彼の世界を愛する。その卑賤(ひせん)にかかわらず、恐らくすべてのその卑賤のためにすら。
by bashkirtseff | 2004-12-21 21:45 | 1875(16歳)
<< 日付なし 日付なし >>