私は今朝サロンへ行って、ジュリアンに出会った。彼は私をルフェーヴルに紹介した。ルフェーヴルは私の絵には良いところがあると言った。──私はまだ小さい娘である。
家では今に起こることになっている変化を皆が話し合っている。私は家の者がうるさくてたまらない。父は時々途方もないことを考えている。彼は自分でそんなことを信じてもいないのに、それを固持して、すべては私がこの夏をロシアで過ごすことを同意するかしないかによると言う。 ──世間の者におまえはおまえの家族から離れて生きていないことを見せてやりたいのだ、と彼は言った。 私はこれまで家族から離れて生きていたことがあっただろうか! 私を責任者にしようとするこの仕組みはいとうべきものである! さて私の盃は満たされた。私はそのことを話しだして涙を流さないではいられない。彼らは何事もしないであろう。またすることも出来ない。それで私は気長く待って成り行きを見ようと思う。しかし少なくとも私は旅行しないつもりである。私はここにじっと(!!!)していて、この腕いすに掛かったままでいらいらしていることが出来る。ここは肉体的に居心地がよいから。 おお、この倦怠、おお、この惨めさ! 私の年ごろでこんな気持ちになるのは自然であろうか? これは性格を不具にしないであろうか? 私を悲しくするところのものはこれである。もし私がある喜びを得るとか、あるいは幸運を得るとかしたならば、私はそれを受け楽しむことが出来るであろうか? 私はひとりでに現れてくる機会を利用することが出来るだろうか? 私にはもはや人と同じように物を見ることが出来ないように思われる。また……しかし、それはもうどうでも良い。 日が暮れると私は全く疲れ果てて半ば眠ったようになって、神聖な階調が頭の中を通り過ぎる。──その階調はオーケストラの旋律のごとく高低を造って進み行く。けれども私の意力からは全く独立して。
by bashkirtseff
| 2009-02-24 19:35
| 1881(22歳)
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