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1880.07.23(Fri)

 私の失われた空費された若さをば誰が取り返してくれるだろうか? 私はまだ20にもならないのに、この間白髪を3本見いだした。私はそれを誇りにしている。それは、私が何事をも誇張しないという1つの恐ろしい証拠である。もし私のこの子供じみた形がなかったならば、私は年取って見えたかも知れない。これは私の年ごろとして当然なことであろうか?
 否! しかし私の心の底の方から1つの嵐が起こって、すべてこのことをば、私の頭が私を哀れみ出す前に、それを吹き飛ばしてしまうように私に言い聞かせた方がよいと思われる。
 私は1つの不思議な声を聞いた。それは神のたまものであるのに、私はそれを失ってしまった。歌うことは女にとっては、雄弁が男におけるがごときもので、限りなき1つの力である。
 公園に向いた私の窓からマダム・ド・ロオトシルドがプロムナードに見えた。彼女は馬や侍童などを大勢連れてきたのである。この幸福な夫人を見て私は平気でいられなくなった。けれども、私は勇敢でなければならぬ。その上、苦しみが強くなると、それは救われを意味する。それはある点まで達すると減退し始めることを私たちは知っている。私たちが苦しむのは心のこの危機を待つ間である。しかしひとたびその危機が到達すれば私たちは救われた気持ちになる。そんなときに私たちはエピクテトスに助けを求めたり、祈ったりする。しかし祈りには感情を騒がせるような点がある。……
 この数日以来私はだいぶ良くなった。その間も悩みは絶えず絶えず絶えず起こり続けていたのではあったが。やがて新しい爆発が来て、私は壊崩してしまうだろう!
by bashkirtseff | 2009-01-22 13:48 | 1880(21歳)
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