1879.01(Fri)

 私はまだ16歳なら世界一の幸福な女であるのだが。
 ──どうです、ロベール・フルリは言った、賞与をお取りになりましたね。
 ──はい、ムッシュ。
 ──全く当然です。あなたご自身でもお取りになるとお思いだったでしょう。
 ──おう! ムッシュ、私はそうおっしゃられるとうれしくてなりません。
 ──いや、全く当然です。単にコンクールにお出しになった首だけでなく、一般にあなたのお描きになるものがそれだけの価値はあるのです。あなたは大層進歩なさった。私はあなたがそうおなりになって、メダイユを得られた事を、非常に喜んでいます。全くそれだけの価値はあったのです。
 私は聞いていながら顔を赤らめて震えだして、そういう言葉を耳にしてもうれしく感じなくなってしまった。そこにいた叔母は私以上に震えだした。
 ──マドモアゼル・ブレスロオは恐ろしくかわいらしいものをやりましたね。彼は去りがけにエスパアニュの娘にそう言った。
 ──大層難しゅうございましたわ、ムッシュ!
 ──おう! 否、否、否。勉強する気がなかったからです。あの人は時々出て来るだけです。そうしていつも褒められていないと来なくなって、それきり幾週間も見えません。しかし内では何か勉強しているようですね。……
 ──今度の首は難しかったですもの、ムッシュ。エスパアニュの娘は答えた。彼女は必要ならコンクールのあら探しに悪魔の役目でも取りかねないような女である。
 ──しかしあの人は勉強しません。
 ──でも内で勉強していらっしゃるわ。
 ──何かの懸賞画でもやった方が良いか知れませんね。
 この気の毒な人はかんしゃくを起こしてルフェーヴルやブーランジェの前でこんなことまで言ってしまった。
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by bashkirtseff | 2008-12-06 11:34 | 1879(20歳)
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