1878.11.23(Sat)

 ロベール・フルリがまた私に「真の芸術的未来、実力ある画家の未来!」ということに関して話した。彼の使った言葉をいちいちは覚えてない。けれども彼は私が今夜描いた全身の習作について話したのである。それを聞きながらブレスロオは厚意ある尊敬の顔つきをして私を眺めていた。それは自分で嫉妬しているように思われたくない時にする顔つきであった。
 彼の話は今週の首についてではなかった。なぜと言うに、私の描いたのは非常にまだ貧弱で、それについてとやかく言われるべきほどのものではないから。彼は私の仕事の全体について話したのであった。私をいくらか不愉快にしたことは、彼に、アトリエの研究で満足しないで、写生をしたり、想像で構図をしたりするようにと言われたことであった。
 これまでの私の仕事は、いわば機械の仕事であった。これから私は自分の幾分をその中へ入れて、多少の独立を示さねばならぬ。
 彼が私に忠告した言葉によって、また彼が私を励ました言葉によって、私は自分もブレスロオと同じように彼に嘱目されていることが分かった。あなたは理解して下さるでしょうが、私は男というものを少しも問題にしてはいない。ただ教師を問題にしているのみである。なぜと言うに、私はいま一度あなたに言いますが、彼は人を驚かすほどの画家ではないとしても、なお教師として完全な人でありますから。
 ブレスロオと私とに対して、彼は特別に良く直してくれる習慣がある。
 今夜私はナヂイヌとポオルを連れてまた Amants de Véron〔ベロン(底本:「ヴェロオン」)の情人たち〕を見に行った。フィリッピノも誘った。カプウルとエイルブロンヌが非常に面白く歌ったり演じたりしていた。楽譜は2度目に聴いていると花のように開くかと思われる。私はいま一度行かねばならぬ。花はますます開いて、微妙な香りを放つであろう。この作品には巧妙な文句があるが、それを鑑賞するには忍耐と耳の敏感を持たねばならぬ。この音楽はその美を人に強いることがない代わりに、こちらから進んでその細かな弱い魅力を求めねばならぬ。
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by bashkirtseff | 2008-12-02 13:24 | 1878(19歳)
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