1878.11.03(Sun)

 母様とヂナとマダム・X…と私と4人して馬車で出掛けた。皆は私を結婚させたいと思っているけれども、私は自分があるどこかの紳士を金持ちにする材料になりたくないので、結婚はするけれどもただし相手は金があって相当の身分で美しい男であるか、でなければ特別の天才であるか、それを条件にしたいと答えた。その性格に至っては、たとえその人が悪魔であるにもせよ、それは私が気を付けて面倒を見るつもりである。
 マダム・G…は美術の神聖を傷つけるようなことを言ったから、私は2度それを私の前で繰り返したら部屋から出て行こうと思った。彼女は自宅に教師を呼んで絵を描いている婦人たちの例を引いて私も結婚したところで同じことが出来るだろうと言った。世慣れた女とかブルジョアジーの女とかには、高尚な芸術的感情を戦慄せしめるようなたまらないところがあるものだ。
 あなたにはお分かりでしょうが、私は聡明に論理的に自分だけでものを考えるのである。
 私はまず自分の空想の結婚を考えてみようと思う。もし成功しなかったら私も人並みに自分の財産を頼りに結婚しようと思う。だからその点は安心である。あなたが結婚するとすれば、あなたは月決めの部屋を幾つか借りたりしないで、家を買いたいと思うに相違ありません。その中に必要なだけのものを備え付けねばならぬでしょう。また下宿でもしている時のように部屋が不足しても困るでしょう。その上、ロシアのことわざに「建て増しをすると運が悪くなる」ということもあります。
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by bashkirtseff | 2008-12-01 12:20 | 1878(19歳)
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