1878.10.26(Sat)

 私の絵はこれまでのよりも良く出来ていた。裸体習作も良い。ムッシュ・T…がコンクールの審査役であった。ブレスロオが1等で、私が2等。
 まあ満足しなければならぬ。
 今朝ロベール・フルリが私の彫塑に対する計画について隅で私に話している時、私は子どものように無邪気な顔をしてほほを赤らめて手持ちぶさたにして立っていた。彼は話しながら微笑した。私も微笑した。それは新鮮なスミレの香りを私がかいだような、常に干からびて縮れている私の髪の毛が美しい陰影で満ちているような、また何を持っていたか知らないが私の手がおかしな姿勢をしているような、そんな気がしたからである。
 ブレスロオはいつも言う、私の手が物に触れる様子は美そのものである、私の手は古典的の意味から美しいとは言えないけれども、と。
 しかしこの美を発見するのは芸術家でなければ出来ないことである。ブルジョアと社交界の人は人が物を持つ様子などには気を付けない。それでいつも私の手などよりも太った平べったい手の方を良いとくらいに思っている。
 10時と11時の間に私は5つの新聞と2冊のデュリュイに目を通す暇があった。
 私はこんなに学校で成功していることが私のためにならぬことではないかと心配している。私はこのように順調に進んでいくことをほとんど恥じている。そうして「非常に良い」とか「大層良い」とか言われると自分で困難に打ち勝ったことも進歩したことも意識しなくなってしまう。──それでもブレスロオがそう言われるのを聞くと彼女が大芸術のごとく思われてくる。それでいくらか自分でも気を取り直しているのである。
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by bashkirtseff | 2008-11-29 10:23 | 1878(19歳)
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