1877.12.15(Sat)

 期待されていた通りブレスロオは非常な成功をした。絵が大層良くなったのである。私はどうかと言うに、頭は大変に良いそうで、裸体も悪くないとは言われる。
 私は……自分でもなんと言って良いか分からない。ブレスロオは3年勉強しており、私はたった2カ月きり勉強していない。考えてみると、つまらないことだった。ああ! 3年前から始めていたら、たった3年で良い、3年と言えば長い年月ではない、私は今ごろは有名になっていたものを!
 アトリエでは1つの喜劇が始まっている。皆で金を出し合わせてムッシュ・ロベール・フルリとムッシュ・ジュリアンに皆の写真を贈ろうということになった。ちょうどそのときエスパアニュの娘は、自分が首席だと思い込んで、ブレスロオに失敬な態度を見せたので、ブレスロオが激しい答え方をして、それで学生たちが2組に割れてしまった。
 スイスの娘たちは、5人とも、一心同体となって、エスパアニュの娘に口を利かなくなった。ウィリアム・テル(底本:「ヴィルヘルム・テル」)の子孫の人たちは写真の寄贈を拒絶して、とうとうすっかり怒ってしまった。私は彼らを皆控室へ呼んで、そんなまねをするのは愚ではありませんかと話してみた。彼らは先生に対して失礼な申し出をして、同時にエスパアニュの娘をそれだけ重く考えさせて喜ばせていたのだから。
 それで彼らは決心を考え直すことになった。そのとき私はエスパアニュの娘を自分の優越者と絶対に認めないことを知らせてやるために、今朝9時になったらば金箱を開けてみることにしようと言い出した。恐ろしいエスパアニュの娘はまだ来ていなかった。皆は私の言い出したことに賛成して、それを実行することになった。私が数えてみたらば107フランと1スウあった。それで私はその結果を報告に計算室へ出掛けた。
 ──マドモアゼル・A…は見えていますか? と私は、その娘に絵を習わせているリンゴ売りみたいな女に尋ねられた。
 ──いいえ、マダム。
 ──不思議ですね。私はあの人だとばかり思っていましたが、……
 ──生徒が皆して集めた金なのですよ、マダム。だから皆してその結果を知りたいと思って、皆の見ているところでお金箱を開けたのです。さよなら。
 エスパアニュの娘が来た。彼女は何にも言わなかったが、私はまた1人敵が出来たのを誇りうる。私はそんなことを何とも思っていないことをも誇りうる。
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by bashkirtseff | 2008-04-12 22:04 | 1877(18歳)
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