1877.11.24(Sat)

 今夜アトリエはアメリと私とジュリアンとラ・ボンヌとロザリと、それきりであった。
 ムッシュ・ジュリアンは男の学生のコンクールと私たちのそれと、それから男の学生の描いたカリカチュールを取りにやって男たちに見せた。
 私たちはその絵を眺めながら、火曜日にムッシュ・ロベール・フルリ、ルフェーヴル(肖像画家、当時41/底本:「レエフヴル」)及びブーランジェ(底本:「ブウランゼエ」)によって与えられる真実の決定を予想してみた。
 ブレスロオとフランスの少女(この人はもう4年間アトリエに通って、いつも横顔ばかり描いているが、少しも天才のひらめきはない。しかし欠点のない絵を描く)と、それから今1人の娘との間に競争があるだろう。ポーランドの娘アメリと頑丈なゼンニが絵をしまいに行った。ジュリアンは私にこんなことを言った。
 ──あなたは多分良い成績は得られないでしょう。それは、もう3年も4年もアトリエに通って実際に進んだ腕を持っている人たちと競争するからです。ですが、あなたの首は写生としては確かに最上の一つです。ちょっと類例のないものです。誰でも良い大家に見せて、実物からこんな絵が描けるまでにはどのくらいかかるものでしょうと聞いてご覧なさい。私は保証します。1年以内で描けるという人は1人もないでしょう。しかしまだ完全なものでないことは言うまでもありませんが。
 そういって彼は私の絵をあのフランス少女の絵と比較して一つの教訓を与えてくれた。
 ──あなたのアカデミーには、大変な欠点がありますが、今の絵には目立つほどの悪いところはありません。あなたが1月と3週間たったばかりで、人物を幾つも立たして、こんなふうに、しかも実物から対象を作ろうとなさったことを人に話すと、その人たちはあなたにからかわれているというかも知れませんね。
 ──だって、ムッシュ、私は自分で満足していられないのですもの!
 私がそう言った時は、実際私はそう思っていたのである。
 ──満足していられない?
 ──ええ! 私はもう少し良いものが描きたいのです!
 ──今のままでお続けになったらえらいものが出来ましょう。今まで描いたものだって、さっきも言いましたように、確かに類例のないものですからね。
 彼は大勢の人がいる時には決してそんな言い方はしなかった。それは一つの騒動を引き起こすからであろう。
 そうだ、私はきっと悪い成績ではあるまい。あんなやつらは私が絵を始めてどんなに日が浅いかということを知らないのだ。彼らはモデルを見ないから、似ているか似ていないかの判断がつかないのだろう。
 私には少しの励ましが必要であった。なぜと言うに、今朝は気が沈んで仕方がなかった。
[PR]
by bashkirtseff | 2008-03-09 20:44 | 1877(18歳)
<< 1877.11.26(Mon) 1877.11.23(Fri) >>