1877.11.17(Sat)

 ムッシュ・ロベール・フルリは肖像に満足しなかった。しかし私は概して肖像はよく似るから、また人は自分の持っている品質をば失うものではないから、このことはあまり心配にはならない。私はまた始め直すつもりである。
 競技試験が決定した。競技者が18人あって、私は13番だから、私の下にまだ5人ある。だからそれほど悪くはない。あのポーランドの娘が1番である。実に不公平だ。
 私は裸体習作で褒められた。
 私はいろんな種類の解剖模型と頭蓋骨を買って、それらのものを切開する場合のことを終夜考えてみた。
 あなたは何を持ちたく思いますか? 私は疲れてしまった。この手はもう絵を描くこととたて琴を弾くことよりほかには役に立たなくなってしまいました。
 けれども、ブレスロオに負けるなどは思いも寄らぬことだ。
 私の写生は一番に出来た。
 ──1時間でこれだけ描いた。ムッシュ・ロベール・フルリが叫んだ。まるで人間業とは思えないほどですね!
 私はこういうこともあなたにお知らせしなければならぬ。ムッシュ・ジュリアンやその他の人たちが男子のアトリエで、私には女らしい筆触もなければ、女らしい風もなければ、女らしい能力もないということと、これだけの才幹と力と、否、暴力とさえ言い得るが、それを絵の上に受け継いで、仕事をするのに根気強いところのあるのは、家族の何人の血を受けたものか、それを知りたいということを話したそうである。
 それにしても、私にまだ構図(コンポジション)が出来ないというのは不思議ではあるまいか?
 私には自分の形の釣り合いを取ることも分からない。私はアトリエで一つの風景を描いてみようとした。しかし、構図が出来ない。それは何物にも似もつかない、もちろん私は全然それを自分の頭で、想像で、描いてみた。ところが私は自分の描く人間がどんな歩き方をしているかというようなことには少しも構わなかったのである。否、……これは全く不思議な話である!
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by bashkirtseff | 2008-02-09 19:22 | 1877(18歳)
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