1877.10.28(Sun)

 シェセッピが私の肖像を描き出した。
 私はこれまでこんな人たちが生きていようとは思ったこともなかった。シェセッピには自分の好きな同情のある人が、かつらをかぶったり、おしろいを塗ったりしていようとは思えなかったであろう。
 常に絶対の真実を話さないような男は詐欺師とも言えるし、うそつきとも言えるし、破廉恥漢とも言える。彼女は彼を軽蔑(けいべつ)している。
 昨日彼女とブレスロオは私の心配(私は昼食に行っていた)に同情して、ピンチオをすぐ私のところへ連れ帰ってやりたいと思っていた。けれどもエスパアニュの娘とそのほかの女たちが、私は金持ちだから私の召し使いみたいなことをするのだと言ってののしりだした。私は彼女に、彼らがアトリエで私のことをどんな風に言っていたかと問いただした。
 ──あの人たちはあなたがもう少し出来ないと好きになるのでしょう。──それから──あなたがいなくなると皆はあなたのことばかり話しています。
 それならいつも同じことである。私はほかの人のように、人に注意されないで過ごすことが出来るだろうか。これは誘惑的なことである。しかしまた不幸なことでもある。
 エスパアニュの娘というのは22と言っているが、その実は25である。そうして絵に対して熱心ではあるが、才能を持っていない。同時に彼女は驚くべきほど善良であって、すべての人に親切である。あなたは、彼女が金をもらって皆の世話をしたり、アトリエの用事をしたりしていたと思うでしょう。
 彼女はロベール・フルリやジュリアンが誰か学生の一人に注意を払っていると、震え出す。彼女はやっと始めたばかりの私にさえ嫉妬心を起こしている。私はお気の毒にも相当の才能があるが、彼女には果たしてどのくらい出来るか私には分からない。
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by bashkirtseff | 2008-01-04 16:33 | 1877(18歳)
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