1877.10.04(Thu)

 朝の8時から12時まで、それから1時から5時まで絵を描いていると、日が早くたってしまう。しかし往復に1時間半かかる。今日は少し遅れたので、6時間きり仕事が出来なかった。
 私はこれまで失った年月のことを考えると腹立たしくなり、何もかも投げ出したくなる! ……けれどもそんなことをしたなら尚と悪くなったであろう。まあ、哀れないやな者よ、とにかく最後に始められたのだから喜んでいたらどうでしょう? でも、13のときにこんな風にして始めたならばどんなに良かっただろう! 4年損をした!
 私は4年前に始めたなら今ごろは歴史上の絵が描けるようになっていたはずである。私のこれまで学んだところのものは、かえって妨げになるばかりであった。私はやり直さねばならぬ。
 私は首の全部を自分で満足するようになるまでに2度も書き直さなければならなかった。それは裸体から研究した。ムッシュ・ジュリアンは線1本も直さなかった。私が来た時には彼はアトリエにいなかった。私に教えてくれたのは一人の弟子であった。私は今まで裸体の写生を見たこともなかった。
 今日まで私のしたことは皆つまらないいたずらに過ぎなかった!
 ついに私は芸術家たちの仲間に入って仕事をするようになった。サロンに出品したり、肖像画を描いて売ったり、人に教えたりする本当の芸術家(アルチスト)の仲間に入って。
 ジュリアンは私の始め方を喜んだ。「この冬の終わり頃にはあなたは良い肖像画が描けるようになるでしょう」と彼は言った。
 彼は時々女の学生も男の学生と同様に良くできると言ったりすることがある。私は男の学生と一緒になって勉強をしても良いとは思うけれども、彼らはタバコを吹かす。そうして、その上、別に何らの利益もない。以前には女の学生は着物を着たモデルのみを使っていた。しかし女がアカデミーすなわち裸体の人間で描くようになって以来、男と差別がなくなった。
 アトリエの給仕女(ボンヌ)は良く小説の中に描かれるような女である。
 ──私はいつも芸術家たちと一緒に暮らしております。彼女は言う。ですから私はもう俗人ではありません。私は芸術家です。
 私は満足である、満足である!
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by bashkirtseff | 2007-07-21 17:44 | 1877(18歳)
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