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1877.09.09(Sun)

 今日私は泣いた。私の気ままな生活の始まりは痛ましい。神は私に道を誤らせないように導いてください。私は不幸です! これまで私は幾たびも自分が運命から罰せられているように思おうとしたことがあった。そうしてそのたびにいつもその恐ろしい考えに反抗した。……
 Nunquam anathematis vincula exuenda ! 〔決して破門のいましめは解き放せない!〕
 世間には何事にも成功する人と、何事にも成功しない人がある。そうしてこの真理を否定して言わるべきことは一つもない。それがまさしく恐ろしい点である!
 過去3年間私は一生懸命に仕事をすることが出来た。けれども13の年に私は公爵H…の幻影を追っていた。痛ましいことであった。けれども私は自覚して自分の時を浪費したのではなかったから自分をとがめることはしない。私はそれを悔いているけれども、自分を非難することをばしない。もちろん私の無知から来たことではあったけれども境遇が私の自由意思と結合して、絶えず私を苦しめていた。それからまた熱情が苦しめていた。それを私は40年もかかって得た懐疑心か何ぞとはき違えていた。すべてこういったようなもののために私は人には想像もつかないほど、あちらこちらへつつき回されていた。
 他の人なら同様の境遇にいると、本質的の助力を見いだし得て、ローマとかその他の場所とかで、仕事をすることが出来たり、あるいは良い結婚をしていたかも知れない。けれども私にはそんなことは何にも生じなかった。
 私は自分だけの生き方で生きてきたことを悔いてはいない。私は忠告というものが私にとっては何らの用をなさないこと知っているから、もし悔いるとすれば、それこそおかしいのである。私はただ自分の感じていることを信じるのみである。
by bashkirtseff | 2007-06-23 14:08 | 1877(18歳)
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