1877.08.05(Sun)

 人はパンがない時には菓子のことなどは言わないものである。だから私も今では芸術状の望みを言ったりすることを恥じている。私はもう少し良い仕事が出来るように、ああしたいとかこうしたいとか、イタリアに行って勉強したいとか、そんなことはもう言わないつもりである。こう言うだけでも私にはつらい!
 たとえ私の望みはことごとくかなえられても、私は以前のように満足することはもうないだろう。
 自信を失うことは何物を持ってしても回復の道がない。これは、そのほかの取り返しのつかないことと同様に、私にとっては慰められようのない悲しみである。
 私は絶望し、悲しみ、何物にも何人にも心を動かされなくなった。私の顔はやつれ、それがために醜くなった。私はもはや話も出来なくなった。友達は私を見るとびっくりして、すぐに去ってしまう。それで自分でも愉快にしようと努めては見るが、その結果は妙に調子の外れたばかげたことをするようになる。
[PR]
by bashkirtseff | 2007-01-20 07:29 | 1877(18歳)
<< 1877.08.06(Mon) 1877.08.01(Wed) >>