1877.07.18(Wed)

 この単なる言葉、イタリア! はほかのいかなる言葉を聞くにも増して、またいかなる人と会うにも増して私の心を感動させる。
 おお! いつになったら私はそこへ行けるだろう!
 私は虚飾からおお! とかああ! とか書くのだと思われては本当にどうしてよいか分からなくなる。
 自分ではなぜそう思われたりするだろうということは分からないが、しかし実際にそんな風に思われそうな気がする。だから私は誠に愚かなまた不愉快なことではあるかも知れないが、自分の言うことは皆真実であるとあくまでも断言する。
 ご覧の通り私はこれから文体を変えて、ごく単純な書き方をしようと思うが、私の今までの誇張した物の言い方と比較してみると、誰も私の言おうと思っていることが分からなくなりはしないかと心配している。
 聞いて下さい。私はナープルを去って以来、つまりロシアの旅に出て以来、常に自分を直そうと努めています。あるいはいくらか改善されたかと自分では思っています。
 私は何もかも極めて自然に話そうと思っています。もし形容の言葉が出来ても飾り立てるために使ったのだとは思わないで下さい。おお、否、それはただ出来る限り完全に私の考えの混乱を表そうとするからなのです。
 私は人を泣かせるような物が書けないのでひどく腹立たしく思っている。私は自分の感じる通りに人をも感じさせたい。私は泣くから、私は泣くと書く。それだけのことでは私は足りない。何もかも書きたい。……つまり、人をも泣かせたいのである!
 今にそうなるであろう。しかしそうなるだけのことでは済まないだろう。けれどもそれを探し求めるのは無益なことである。
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by bashkirtseff | 2007-01-18 20:52 | 1877(18歳)
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