1877.05.16(Wed)──ニース

 私は前部屋に必要なものを探しに朝から半日駆け回ったけれども、こんな田舎では何にも得られなかった。私はビードロ(底本:「びいどろ」)絵を描く人の店にも行った、ブリキ屋の店にも、それから方々。
 私の日記は面白くないだろうとは思われるが、興味のある細事を省きながら面白く読ませることは困難なので、私は苦しんでいる。もし暇々に書くのならばあるいは面白くも書けるだろうが毎日つけていく日記のことであるから、……興味を持って読んでくれる者はただ思想家とか、人性研究者とかだけであろう。……これを全部読むほどの忍耐のない人なら、初めから読むことは出来ないであろうし、ことに、初めから理解することは出来ないであろう。
 花の咲いた庭の真ん中の私の心地よい巣の中にいると幸福を感じる。ニースのことなどは忘れてしまい、田舎に一人で来ているような気持ちになる。
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by bashkirtseff | 2007-01-18 20:32 | 1877(18歳)
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