今日はいつもの単調な同じような日とはいくらか変わった日である。学課の時間に私はマドモアゼル・C…に算術の一つの説明を頼んだ。彼女は私が一人で考えださねばいけないと言った。私は彼女に向かって、私の知らないことは私に説明してくれなくてはいけない! と言った。
──それはいけないというようなことを言うべき問題ではありません、と彼女が言った。 ──何にでもいけないと言うことは言われます。私が答えた。ちょっとお待ちなさい。次の問題に移らないうちに私は一番にこのむずかしい問題を考えてみますから。 私は特別に落ち着いた声でそう言った。彼女は私の言葉の中に乱暴なところがなかったので怒っていた。彼女は私から私の時間を盗む人である。もう私の生涯のうちで4カ月も空費された。もちろん彼女が悪いと言えばそれまでである。しかしなぜ私が苦しむ人にならねばならぬのだろう? 彼女は私の時間を空費させて私の将来の幸福を損なう人である。私が何か説明して下さいと言うたびに彼女は私に失敬な返事をする。私はそんなものの言い方をされたくない。彼女は自分が悪いのでいらいらしている。それでわれながら耐えられなくなったのである。そのとき私の方は当惑して、むしろ怒っていたけれども、不思議に落ち着いてしまったのであった。私の調子が彼女をいら立たせた。彼女は私の方から怒ってかかることを期待していたのである。 ──あなたは13ですよ。よくそんなまねが出来ますのね? …… ──そうです、マドモアゼル、私は13だから、そんな言い方はしてもらいたくないのです。どうか大きな声を出さないで下さい。 彼女はあらんかぎりの恐ろしい言葉を使って爆弾のように破裂した。その暴言に対して私はどこまでも落ち着き払って答えた。それが尚と彼女を怒らせた。 ──これっきり私は教えてあげません! ──おお、結構ですわ! 私は答えた。 彼女が部屋を出て行くと、私はのどの周りに100貫目(#1貫目=約3.75kg)の重荷をくくり付けられていたのを解かれた人のような長いため息をついた! 私は喜び勇んで母様を捜しに出掛けた。マドモアゼル・C…が廊下で追いかけて来てまた始めだした。私はどこまでも私の戦術を固守して、何にも言わなかった。私たちは一緒に廊下を歩いて母様の部屋へ行った。彼女は復讐(ふくしゅう)の女神のようなふうで、私は最上の冷静な態度で。私は自分の部屋に戻った。彼女は母様に話した。……
by bashkirtseff
| 2004-10-15 22:26
| 1873(14歳)
|
ファン申請 |
||