日付なし

 10時20分にローマを出た。私はまた眠った。今はナープル(ナポリ)に来ている。けれども今度はあまり良く眠れないで、ある一人の気難し屋の紳士が車掌に向かってプラテエ(筆者の犬)のことで不平を並べているのが耳に入った。丁重な車掌は私たちの犬を弁護していた。
 しかしここはナープルである。あなたも私と同じような心持ちになれるでしょうか? 大きな美しい都市に近づくといつも不安になって胸がどきどきする。私はこの町を私の物にしてしまいたくなる。
 私たちはオテル・ド・ルーブル(底本:「ルウヴル」)に着くまで1時間以上かかった。途中の混雑、殊に叫び声とおびただしい雑踏。
 この町の女たちは不思議な頭をしている。メナジュリ(動物の見せ物)で虎や大蛇などと一緒に見せられる女たちみたいな風をしている。
 ローマでは古い物が良い。ナープルでは新しい物よりほかに褒める物はない。
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by bashkirtseff | 2006-07-25 19:20 | 1877(18歳)
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