月日は滑り去る。私は私の生涯の一番大切な時期を失いつつある。
家族の集まり、面白い慰み、私を中心としてのにぎわい。……それから私はひじ掛けいすにかけながらミセルと今一人の人に担がせて階段を下りたり上ったりさせると、下りるときに決まって姿見に映った私の靴を褒める。……そうして毎日同じことを繰り返している。 何という ennui〔倦怠(けんたい)/アンニュイ〕だろう! 気の利いた話一つ出るではなく、教養ある人の口から漏れるような言葉一つ聞かれるでもない。……私は不幸にして学問をする女だから、古典や科学などの話を聞きたいのである。……この土地ではどこに行ったらそんな話が聞けるだろう! トランプのほかには何物もない。私は一人で閉じこもって読書したい。けれども私のここへ来た目的は皆に愛されるためだと考えてみると、それも少し変だから出来ないのである。 私は冬ごもりすることになったらすぐと再び以前のように勉強を始めよう。
by bashkirtseff
| 2006-01-30 19:31
| 1876(17歳)
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