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1876.07.16(Sun)

 マドモアゼル・K(カア)…、今の公爵夫人ド・S(エス)…の幸運を考えてみると、最悪の感情がまたよみがえって、私はうらやましくなる。
 あの人なぞはニースでは何者でもなかった。あの下等な赤いほほと、大きなモルダヴィア(ルーマニア(底本:「ルウマニヤ」)のロシアに接した地方)風な鼻をして。
 もちろん美人と言えないことはない。けれども私に言わせれば、どこか外国の着物でも着せて侍女にしたならばよさそうな美しさである。私に靴を履かせたり、暑いときに大きなうちわで私をあおがせたりするにふさわしい女である。それにあの人が今では一個の女王である。大切な時期に女王とされたのである。大望のある娘たちにとっては非常に貴重な時期において。確かにあの人の歴史上の地位は固定してしまった。私はどうなるのであろう!
by bashkirtseff | 2005-09-23 11:07 | 1876(17歳)
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