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1884.08.30(Sat)

 一大事。私には何にも出来ない。……セーブルの絵を仕上げてから、私は何にもしなかった。2つのつまらない板を除いては何にも。
 私は昼間に幾時間か眠る。……本当に馬車の中で小さな習作を描いた。でもそれは人を笑わせるようなものである。
 絵は貼り付けられた。すべては整った。ただ欠けているのは私ばかりである。
 もし私が何もかも言わねばならぬとしたなら! 忌まわしい恐怖……
 やがて9月である。嫌な時候も遠くはない。
 ほんのわずかの風気でも私を2月も床につかせるかも知れぬ。それから快復期になるのだ。……
 そうして絵だ!! 私は何もかも犠牲にしてしまうであろう。そうして……
 ああ! 神を信じて祈るときが来た。……
 そうだ、病気になるという心配である。私は瀬戸際に立っている。私は肋膜炎にでもかかったら、6週間で行ってしまう。
 これは私の世を終わる有様である。
 私はいつも絵を描いてばかりいるだろうから……そうしてこれから寒くなるだろうから……そうして私が出歩いたり絵を描いたりして風邪を引くかも知れぬと言うならば、絵を描かない人たちだって死ぬときは死ぬのである、……結局は!
 そうして死んでしまえば、私のあらゆる惨めさも終わりとなる! 奮起も、希望も、計画も、……すべてのものがしきい際で、24で死んでしまうのだ!
 私はそれを予想していた。神は偏波な態度を示すことなしには、私の生命に必要なほどのものを皆私にくれることは出来なかったので、私を死なせるのだろう。──年月はあった……多くの年月は! それにほんのわずか。──そうして無。
by bashkirtseff | 2012-05-19 18:37 | 1884(25歳)
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