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1884.06.07(Sat)

 皆が今晩の厳粛な準備を黙ってしている。
 これが私の着物である。白絹の薄衣(ムスリイヌ)。組み合わせになった二つの黒紗(ドラブリ)で出来ている胴衣(コルサアジュ)は、肩の上でその黒紗の端が結ばれている。袖は短く、やはり結び目になったムスリイヌの切れで出来ている。非常に広い繻子の帯は、後ろで結んで翻るようになっている。腰袴(ジュウヴ)は左から右へ飾りのついた黒紗で出来ていて、裾まで垂れている。後ろには、二重にひだの取ったムスリイヌの2つの切れがあって、一方はまっすぐに床まで垂れ、他方はそれよりも短い。髪には何にもない。あっさりした白靴。その総体が目を奪うばかりに美しい。これでは髪はプシッセに結ばなければならない。私は衣装は極端に優美だと思う。前の方の黒紗なんかは夢のようだ。それは実に簡素であって、そうして実に繊巧であるから、私はきっと美しくなるに相違ない。母は非常に長い垂れ裾にダイヤモンドの輝いた、黒玉で覆われた黒の浮き織り(ダマス)の衣装を着ることになっている。
by bashkirtseff | 2012-05-19 11:34 | 1884(25歳)
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