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日付なし

 依然として非常に美しい。この空気は愉快である。月は清く照らし、木は黒ずんでいる。ニースはきれいである。世界における最も美しい景色も、私の窓に有する景色ほどには私を喜ばさないであろう。天気はよい。けれども、悲しい、悲しい、悲しい。
 私は私の心理学的の小説をぽつぽつ読み続けようと思う。
 人はなぜ、誇張なしに話が出来ないのであろうか? 私の陰鬱(いんうつ)な反省は、もしもう少し落ち着いた反省であったら、適度であろう。私の表現の仕方があまり激しいので、自然でなくなった。
 純潔な魂、高貴な行動と真実な心がある、けれども彼らは発作によって現れる。そうして非常にまれだから、普通の世事と混入してはならない。
 多分人々は、私はあるもののために苦しまされているからこういう思想に浸っているのだと言うかも知れない。けれどもそうではない。私は私の平静の懊悩(おうのう)は持つが、特別のものは何もない。私がこの日記に記した以外のものは、何にも探さないでください。私は細心に、一つの思想も、一つの疑問も省いてはない。私は私の乏しい理解力の許す限り忠実に私自身を再現した。それでもしあなたが私を信じないなら、私が話していること以外に、またその後に、何物かを探そうとするならば、すればするほどあなたのために悪くなる。あなたは何にも見いだせないでしょう! なぜなら、何にもないのだから。
by bashkirtseff | 2004-12-21 21:48 | 1875(16歳)
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