1883.12.23(Mon)

 真の芸術家は幸福であり得ない。まず第一に、彼らは、彼らこそは、大多数の群集が自分たちを理解していないことを知っている。彼らは100人ほどの個人たちのために制作しているのであって、その他の者は皆その悪趣味に、あるいは「フィガロ」に追随するものであることを知っている。あらゆる階級に渡っての、芸術上の無知は恐ろしいものである。
 よく芸術を口にする人は、いわゆる鑑識家と称する人たちの言うことを読んだり聞いたりして、それを尊敬して口にする。
 さて……私には、そうしたつまらないことがあまりに純朴に感じられる時代があるように思われる。そうした時代にあっては、くだらない対話は取りわけたまらないものであって、つまらないことには悩まされ、華やかさという値打ちもなければ、世間的皮相の見解から言っての価値すらも持っていない愚鈍をお互いに2時間も取り交わしているのを聞かされると、全く頭痛を起こさせられる。
 そう言えばとて、私は、客間の無駄話や、他愛もないおしゃべりや、型にはまったお愛想や、時候の挨拶、オペラ・イタリアンの噂などを聞かされて泣き出すような選ばれ人でないことは、覚えていていただきたい。私は面白いおしゃべりを至る所に要求して歩くほどの愚か者ではない。それは、たまには愉快ではあるが、大概は面白くもおかしくもなく、社交界の月並みとも言うべきもので、一向に私を悩まさない。私が時としては、進んで、それに耐えうるというのは、1つの悪である。しかし真の退屈、真の愚鈍、何物かの欠乏。要するに、社交界の月並み、同時に叡智の欠乏である。
 これでは小さな火で死ぬようなものである。
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by bashkirtseff | 2010-12-05 12:01 | 1883(24歳)
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