1883.12.02(Sun)

 私の心は、要するに、空虚である。すっかり、すっかり、空虚である。……しかし私は、自ら慰むための夢が必要である。……そうは言っても私は、スタンダールが恋の情熱と名付けて、真の恋について語っているほとんど一通りのことは、経験した。彼の語っているところの、そうした数千の空想上の一切の狂愚を、一切の幼稚さを。……そうして私は、とても鼻持ちのならぬような人たちをも、笑い顔をして見ることが出来るようになった。と言うのは、いつかは彼らも私の志しているところへ歩み寄って来るであろうから。
 かつ、私は、女であれ、男であれ、常に仕事をしていて専心功名を念頭に置いている者は、そうするより他に脳もない人たちのように恋をするものではないと信じている。
 もちろん、バルザックとジュール(シーザーではない)とはそう言った。エネルギーの総量は1である。もし人が右方にのみエネルギーを傾けるならば、左するためのエネルギーはもう残っていない。でなかったら、努力の結果は1の変わり2になって弱まってしまう。「ラン(ライン)に50万の兵力を送るならば、彼らはその時パリにじっとしてはいられまい。」
 それ故に、この理論から見ると、私の感情が、私から易々と滑り去るようなこともありそうに思われる。
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by bashkirtseff | 2010-11-29 23:09 | 1883(24歳)
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