1883.11.05(Mon)

 木の葉が落ちてしまったので、私はどうして自分の絵を仕上げたらよいかわからない。私には機会がない。機会! 何という恐ろしいことだ! 説明することの出来ない、戦慄すべき力である。
 ボートに乗って描くこの絵。画布はそこにある。それでいて私はもうどうして描いてよいのかわからない。
 おお! そうだ。でも早く、早く、早く! 15日内には、驚いているロベール・フルリとジュリアンに見せてやるのだ。
 もし私がそれを描いていたのであったなら、私は蘇ったようになっていたかも知れない。私はこの夏、大したものを描かなかったのが心苦しい。これはいとわしく恐ろしい一つの悔恨である。私はこうした特別な状態にもっとよく定義を下したく思う。──私は自分の衰弱しているのを感じる。それがちょうどある大きな和みのようである。今出血したという人たちはこれと似寄りなあるものを感じさせられるだろうと私は想像する。
 私は決心する、……5月の月まで延ばすことに。……なぜそれを5月の月に変えるのだろう? それは要するに、人の知ることであろうか?
 そうしたことが私をして、自分はよいものを、卓説したものを持つことが出来るということを考えさせてくれる。そうして私はそれで自分を優しく慰めている。
 そうした感情が私をして、自分の家族と食事を共にするときに、打ち解けた話をさせもした。私が前髪をあげて初めて髪を結ってもらった日のように、非常に和やかな、非常におとなしい、そうしてごく自然な性質をした人のようにして。
 本当に、私はある大きな和みを感じさせられている。私は落ち着いて、仕事をしよう。自分の動作はすべて落ち着いていき、宇宙をば優しい寛大さで眺めるであろう、というふうに、私には思われる。
 私は落ち着いている。自分が丈夫な体ででもあるように。あるいは自分が丈夫な体をしているものだから、とでもいったように。そうして自分は将来に確信を持っているように、我慢強くしている。……誰にわかるだろう? 本当に私は自分が一種の威厳を付与されていると感じている。私はそう安心しきっている。私は一つの力である。そうして……何の? それは、恋愛ではあるまいか? 否。しかしそのほかには、自分の興味を引きつけるものは何にも見ていない。……それはそうあるべきである。マドモアゼル、さああなたはあなたの芸術に専念になりなさい。
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by bashkirtseff | 2010-11-27 21:26 | 1883(24歳)
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