1883.10.09(Tue)

 ボジダアルの肖像は、私には良い……らしく思われる。ジュリアンは、これは恐らくは大成功だろう、これは非常に独創的で、非常に新しい、だからこれは学問のあるマネのように見えるだろうと言う。
 私にも、それは面白い作品だと思われる。体はほとんど正面に向かい、首は横向きになって、空を背景にして浮きだし、バルコンによっている。造船所、住屋、屋根、街路、辻馬車が見える。それは全体として非常に良く似ている作品である。しかし私は顔の中にさらにもっと何ものかが欲しく思う。頭蓋と胴体は非常に正しい、私の目にすら。
 バルコンにはのうぜんかずらが咲いている。彼は街路を見つめながら、その一つを指の間でつぶしている。しかし私は花の代わりにシガレットにしよう。片一方の手は、隠しに入れている。大きさは実物大の半分である。手にはまだ筆を加える余地がある。
 しかし、5時半頃、私は新月と共に少し赤みを帯びた空にある効果の出たのを見て驚く。ちょうど良い、ちょうど良い、私の「聖女たち」に欲しく思っていたものである。私は即座にその略画を描いた。こうした絵は非常にうまく行かないと出来ないだろう。こうした空を整頓させることは不可能である。私は今すぐにでもかかりたい。3週間たてば描きあがるだろう。とにかくかかってみたい。……コンカルノオでは10月よりも11月の方が天候が悪いということはあるまい。それから……何でも気乗りのしたものを、絶好の機会に乗じて描かねばならぬ。
 私が描こうと思っている空は出来た。これから南国へ、景色と植物を探しに行こう。モデルならここにある。私は南国へ行かねばならぬ、さあ、いつにしよう? 私は人物と空を──15日のうちに仕上げたら、そうして、一度彼地へ行った以上は、多分私は何か絵になるものを見いだすだろう。と言うのは、私は「聖女たち」の方は確信があるのでないから。それは成功するかも知れぬが、それには7年はかかるかも知れない。
 しかしこの空……おお! もしこれが小さなものに使うのであったら……しかし、否、私は実物大にしたい。その方がずっと人に迫るであろう。
 もう少し待つ? 多分。と言うのは、私は今まで良く待ったのだから。数カ月前だったら、私は粗末な制作をしてしまったかも知れない。私はそれを部分から描こうとしていた。そうしてそれに与えねばならぬ融合を充分に呑み込んでいなかった。それに私はまず第一に有名になり、そうしてその有名になった名前をもってでなかったら、この絵を展覧会には送るまいと思っていた。でないと看過されてしまう危険があるから。誰に相談したものだろう? 誰が率直になってくれるだろう? 誰が正しく見てくれるだろう?
 それはやはり私の唯一の友なるあなたでなければならぬ。あなたは少なくとも率直になってくれ、私を愛してくれる。そうだ、私は自分を愛している、私だけが。
 そうだ、子供を仕上げなければならぬ。それと一緒に送るように今一つの絵を描こう。ボジダアルを集会での冬の展覧会に出品しよう。そうしてヂナの肖像も同様に。
 そうして一つの彫像を制作する。これは夢である。でもそれは可能だ。
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by bashkirtseff | 2010-11-27 07:54 | 1883(24歳)
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