1883.10.06(Sat)

 私は外国人の受けている印象を自分で実感してみるために、私たちの有名なツルゲーネフの一つの小説を、一気にフランス語で読み通した。
 彼は偉大な作家であった。非常に鋭敏な精神を持っていて、極めて繊細な解剖をしている。一箇の詩人であり、一箇のバスティアン・ルパージュである。その風景の美しさも、ちょっとした感情の書き分けも、バスティアン・ルパージュのようである。
 何という崇高な芸術家であろう!
 ミレーだ! 全く、彼はミレーと同じように詩的である。こうでも言わないと私の言うことが分からないかも知れない馬鹿者たちのために、私はこうした不条理な言葉を用いるのである。
 音楽であれ、文学であれ、何事においてあれ、偉大で、詩的で、美しく、微妙で、真実なものはすべて、私をこの驚くべき画家へ、この詩人〔バスティアン・ルパージュ〕へと連れ戻す。彼は一般人からは卑俗だと思われているような様々な主題を取ってきて、そこから最も深奥な詩を抽出する。
 雌牛の世話をしている一人の少女や畑で働いている一人の女より以上にありふれたものがあるからだろうか?
 それがどう仕上げられたか?
 しかし何人といえどもそれを彼のごとくに仕上げはしなかった。彼の仕上げ方は正しい。そうだ、300ページを1枚の画布のうちに入れてしまっている。しかし私たちが彼を理解しているのは15人ぐらいである。
 ツルゲーネフも百姓を描いた、哀れなロシアの百姓を。そうしてそれをば何という真実さで、何という素朴さで、何という誠実さで描いているだろう! そうしてそれは和やかである、詩的である、偉大である。
 不幸にして、外国人にはその点は了解され得ない。外国人の間では、彼は主に社会相の研究によって知られている。
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by bashkirtseff | 2010-11-26 22:14 | 1883(24歳)
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