1883.07.26(Thu)

 天気が定まらないので私の絵は進まないでいる。そうして私は土の細工物を皆壊してしまう。たった1つを除いて。その1つというのも、まだ格好すら付いていない。ちょうど、そうしたところへ、サン・マルソーが来た。……心臓の鼓動を気をつけなさい、結晶を、その他を。私は2つの上着を着てみたり、脱いだり、また着てみたりする。長いこと待たせてとうとう彼に会う。気付けもまずく、そうして赤くなって。
 彼は非常に快活で、いつも近代派と、自然主義者と、人間記録に憤慨している。──芸術であって、口で説明の出来ないようなものを探し求めねばならぬ。……
 私にはよく分かっているが、しかし……。彼はこの哀れな見本を見たきりで、まあ続けるようにと私に言った。それっきりだった。それは調子が取れていない。Cが保存のため型を作らせるがよいと私に勧めて型取りのところへやってある横臥せる男、それを彼に見せることが出来なかった。私は、ヂナのあの永遠の像だけは良いと思われているが、それを除いては一つもほめられなかった。……彼は非常に愉快である、このサン・マルソーは。独創的で、才気があって、神経が鋭く、ほとんど突飛でさえある。攻撃するのに少しもちゅうちょしたりしない。それはすべての者に才能があるように思いこませるあの偽善よりよっぽどよい。彼は私の子供の絵を見た。そうしてごろつきとか、百姓とか、悪童とか、要するにそうした悪党じみたものを描くのは易しいと言った。が、さて、きれいで上品なものを仕上げて、それが性格を備えているようにするとなると、そこに難しさがあると言った。
 そうしてその中へ、何と言ってよいか分からない、口では説明の出来ないもの、要するにそれは芸術であって、そうして私たちが私たちのうちにのみ見いだすものを入れなさい。──私もそう言わなかったでしょうか? 卑俗な模写画家や、写真師や、自然主義者たちは地獄へ行ってしまえ!
 さあ進みましょう!
 とは言え、私につらい印象が残されたというのは、私はきれいでもなく、生き生きともしていず、才気もなかったからである。……
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by bashkirtseff | 2010-08-11 18:34 | 1883(24歳)
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