1883.06.24(Sun)

 私はピエトロのことばかり書いていたばかばかしさを思い出す。私は毎晩彼のことを考えていたとか、私は彼を待っていたとか、もし彼が出し抜けにニースに来たならば、私は彼の両腕の中に飛び込んだかもしれないといったようなことを。そうして皆は私が彼に恋していたと思い込んでいた。これを読む人たちもそう信ずるであろう。
 でも決して、決して、決して、そうではなかった。いいえ、決して!
 でも夏の夕方など、1人で気を腐らしているようなときには、誰か自分を愛する男の両腕の中に身を投げることが出来たら幸せだとしばしば考えたりするでしょう。……私にはそうしたことが空想の上で百度もあった。でも、そうしたときには、私はある名前を書いてみたり、ピエトロと呼びかけたりするような人があった。ピエトロでも何でも良い!
 さて! そこには大僧正のおいという幻があった。彼は法王になることが出来るかもしれなかった。……が……
 否、私は決して恋したのではなかった。そうして今さらこの後恋することもあるまい。今私の気に入られるためには、相手の男は非常にすぐれていなければならぬ。それほど私は難しくなっている。あるいは……でも、愉快な青年と単純な恋をする、否、もうそんなことはあり得ない。
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by bashkirtseff | 2010-08-05 07:46 | 1883(24歳)
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