1883.06.06(Wed)

 私は耳で打ち倒された。(何とうまい形容でしょう。)私は自分で良く耳にするこのころのことがまるで幸福な出来事ででもあるようだと言ったら、あなたはこの苦しみが分かって下さるでしょう。そういった胸中の恐ろしさを推察して下さい!
 実に神経が過敏になっている、極度まで! ──私の仕事も悩まされている。私は妄想の不安にいつもさいなまれながら描いている。私は無数の恐怖を想像する。想像が走る、走る、走る。私はあらゆる恥辱を忍んでいる。私はそんな目に遭うのを恐れながら、さまざまな侮辱を思い浮かべていた。
 私は描き続けながら、人が私のことについて何か言いそうなことを考えている。そうして時々びっくりして飛び上がり様、怒りたけった叫び声を発して、気違いみたいに庭の隅まで駆けていったりするほどの恐怖を思い付いたりする。
 ああ! これでは美しい絵が出来るはずだ! 冠水法でもしなければ治らないのかもしれない。そうして、今夜私は母に、大使館のことを考えてくれるように手紙を出そうとしている。そんなことでもしなかったら、私は気違いになってしまう。これは初期である。
[PR]
by bashkirtseff | 2010-07-27 07:46 | 1883(24歳)
<< 1883.06.10(Sun) 1883.06.01(Fri) >>