1883.01.01(Mon)

 ガンベッタは数日前から負傷して病気であったが、死んでしまった。
 私は彼の死によって生じた不思議な感動を述べることは出来ない。それを信じることも不可能である。この人は国家の全生活の大部分であったことは、この人なしには何事も考えることが出来ないほどである。勝利、敗北、漫画、攻撃、称賛、欺まん、何物といえどもこの人と一緒でないものはない。新聞は彼の失敗を語るけれども、彼は決して失敗しなかった。彼の内閣! 6週間内閣を批判することは可能であるか? どんな欺まん、どんな裏切りがあったことだろう? あなたは40日でスウリのようになるように人に求めている。絶えずつまらない問題でその人の地位の失われたることを言い立てながら!
 彼は7人の医者に守られて死んだ。危険に際して何という興味であっただろう! 彼を救うことは何という懸念であっただろう! 自分のことを注意したり、注意されたり、苦しんだりすることは何の利益であろう? 私は今彼を見たかのごとくに死の恐怖を抱いている。
 そうだ、死が迫りつつあるように思われる……今にも。ああ! 人の感じる力は何という小さいものだろう! そうして何の役に立つだろう? なぜであるか? ほかに何物かがなければならぬ。この慌ただしい人生は、十分ではない。それはわれわれの思想と向上心にふさわしくない。次の世界があるに相違ない。それがなければこの人生には解決がない。そうして神は不合理なものに思われる。
 未来の生活……私たちは完全に理解しているわけではないけれども、時々それを瞥見(べっけん)して恐ろしくなるような瞬間がある。
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by bashkirtseff | 2010-06-13 22:42 | 1883(24歳)
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