1882.11.23(Thu)

 今週私のしていることは自分にも信じられないほどのまずさである。ジュリアンは私を呼んで無用な残酷な言葉を私に言った。……私にはとても理解の出来ないようなことを。去年も彼は同じようなことを私に言った。今度は去年の習作を見ながら言った。「あなたは今ではこれほども描けないでしょう。これは良く出来ています。」彼の言うところによると、この3年間私は何にも進歩しなかったことになる。彼は3年前私が絵を始めたときから非難と不平と皮肉を始めたのである。
 多分彼はそう言ったならば私を仕事に追い立てることが出来るだろうと思っているのであろう。ところが反対である。それは私は押しつぶしてしまった。私は3時間気抜けがしてしまって、手は震え腕は燃えた。
 去年の夏私は笑っているイルマの絵を描いて皆にほめられた。今年の夏は、エスパアニュから帰って病気をした後で、パステルを1枚描いた。そうして皆から非常に良く出来たと言われた。それ以来何を描いただろう? 漁夫の絵で失敗した。ロシアへ行った。──6週間の休み、帰ってくると嫌なモデルに当たって、嫌な場所を選ぶことになった。私はそれとも一生懸命で自分の意志に逆らいながら仕事をした。そうしてつまらない絵を描いて引き裂いてしまった。私はこの混乱の中で腕を1本描こうと試みた。ジュリアンが来て、彼の部屋に私を呼んで、今言った注意をしたのである。──私はブレスロオでないことは自分でも知っている。私は勉強しなければならぬことは自分でも知っている。けれどもそのことと、私には希望がないからもう描けないということの間に……要するに人は私が美術に対して全然何物も分かっていないと想像するであろう!
 私はわざとそんな風にしているのではない。それなら! ニースで病気になって以来私の企てたことは皆彼のために嫌なものとして取り扱われた。しかしもしそれが彼の意見だとするならば、また私の意見でもある。ただ彼はわざわざ出掛けてきて、私が何にも出来ないのは勢力を空費するからだといったり、私が自信を持ちすぎるといったり、私が成功したと考えていると言ったりしないだけのことである。彼はそんなことを信じていない──それは途方もないことだと思っている。それは私を滅ぼすからはなはだ愚かなことだと思っている。
 もし私が色において線の時ほど急速の進歩をしないとしても、それはこんな不名誉なことを私に言うことの理由にはならない。
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by bashkirtseff | 2010-06-06 22:00 | 1882(23歳)
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