1882.11.17(Fri)

 これから先私はもっともつまらない人間よりもつまらない人間になるだろう。不完全な病弱な……。私は家の人たちからはいんぎんと助力を、知らぬ人たちからは親切を、必要とするであろう。独立とか、自由とか、そんなものはすべて終わりになった。
 高慢な私はこれから絶えず恥ずかしい思いをしたり、ちゅうちょしたりしなければならないであろう。
 私は今私をこのことに慣らすために書いている。けれどもまだそれを信ずることは出来ない。──それは恐ろしいことである。なぜと言うに、私はまだそれを実感することが出来ないから。──それはあまりに残酷な、あまりに信じられないことである。
 姿見に映っている私の新鮮なバラのような顔は、私の心をれんびんの情で満たす。
 そうだ、世界中が皆それを知っている。少なくとも今に知ってしまうであろう、──今まで私を非難して喜んでいた人たちが……──「あの人はつんぼだ」と。──しかし、私の神様! ……なぜまたこんな恐ろしいことをば突然に?
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by bashkirtseff | 2010-06-06 21:41 | 1882(23歳)
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