1882.06.20(Tue)

 ああ! 何も新しいものはない。訪問の交換と、絵と、……それからエスパアニュと。ああ! エスパアニュ! 私にそれを思い出させたのはテオフィル・ゴーティエの作品である。それは可能であるだろうか? 私はトレドにも、ブルゴスにも、コルドウにも、セヴィルにも、グラナダにも行ったではないか? グラナダにも! 私はこれらの名前を言うだけでも名誉な土地を訪問した。まるで夢である。そこへまた行きたい。あの大理石をまた見たい。1人でかあるいは数人の友達と一緒に行きたい。私は身内の者と行って嫌な思いをしてきた! おお、詩! おお、絵! おお、エスパアニュ!
 ああ! 人生とは何という短さだろう! そうして私たちがこんな短い人生を送らねばならぬということは、何という不幸だろう! パリの生活はすべてのものの出発点に過ぎない。高尚な旅がしたい。──鑑賞家と芸術家の旅がしたい。6カ月ほどエスパアニュとイタリアで暮らしたい。イタリアで、神聖な国で! 神聖な、並ぶものなきローマで! それは私の目をくらませる。
 ああ! 女は何という哀れむべきものだろう。男は少なくとも自由である。毎日の生活の絶対の独立、行くこと、来ること、出歩くこと、宿屋で食事をすること、家にいること、ボアへ散歩に行くこと、カフェに行くことの自由。この自由は半ばは才能を得るための戦いであり、半ばは日常生活の幸福である。
 しかしあなたは言うでしょう。あなたは優れた婦人なのに、なぜその自由が得られないのでしょう! と。
 それは不可能です。なぜと言うに、女がそんな風に自分を解放すれば、若くてきれいであっても、ほとんど交際を遮断されますから。彼女は特殊な、抜群な、偏狭な人になります。それで彼女は非難されて、その結果、異常な慣習を望んでいた頃よりも、かえって自由が少なくなります。
 それで女性を嘆いて、イタリアやエスパアニュの夢に帰るほかにしようがない。グラナダ! 巨大なる植物、透明な空、小川、キョウチクトウ、太陽、陰影、平和、平静、調和、詩!
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by bashkirtseff | 2010-04-27 07:57 | 1882(23歳)
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