1882.05.09(Tue)

 トニーとジュリアンが今夜私の家で食事をした。私は珍奇な服装をしていた。私たちは11時半まで一緒になっていた。ジュリアンはシャンパンを飲んで上機嫌であった。トニーは美しい頭と重々しい顔つきをして、非常に物静かに控えめに快活であった。誰でもこの優しい陰鬱(いんうつ)な心が平穏になっているときには、それを心底から動かしてみたくなるであろう。
 けれども私はこの教授が激しい感情で動かされることは想像することが出来ない。彼は平静で、かつ論理的である。情意の問題でも、彼は絵の価値を説明するときのように極めて沈着な態度で、その原因を示そうとする。簡単に言えば、あるいは──彼の言葉を用いて──約言すれば、彼は気持ちの良い人である。
 サージェント(底本:「サアゼント」)の描いた若い娘の肖像がいつも私に付きまとっている。それは私の心を奪う。実に精緻な絵で、ヴァン・ダイクやヴェラスケスの絵と並ぶべきものだと思う。
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by bashkirtseff | 2010-04-20 07:54 | 1882(23歳)
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