1882.04.23(Sun)

 私はさっきからニースで描いた習作の前に立っていた。その中によい品質が見いだされるだろうと思うだけでも、身震いが背中を走り下るように感じる。なぜと言うに、トニーも、ジュリアンも、バスティアンも、彼らの言葉が私に影響して生じ得べき絶大無限の効果に比べると、彼ら自らははなはだつまらないものに思われるから!
 世の中には、自分の名声に関するもの以外に、真の不安とか、真の幸福とかいうものは何にもない!
 私はまだ自分の行き方を決めることが出来ない。月曜日にはアトリエに行ってまた仕事を始めようと思う。もう幾月も怠けていて、何かの不幸が私に降り掛かってきているような気もする。
 私は自分の出来る限りのことをしなかった。私は大急ぎでパリに帰ってきた。……私はまたしくじった!!! そういう考えが重い雲のごとく私の中を通り過ぎて、私を不安にして、それがため5分ごとに私は熱くなったり、冷たくなったりする。空は灰色に荒れている。雨が降って、風が駆けている。外界の状態は私の頭の中と調和している。私の感じていることは、ほかの印象から来たものであろう! けれども私にはまだ言いたいことがある。それは愛に関する考え方で、けさ私の読んだものから思い付いたのである。
 愛は不断の題目である。あなたの方が優れていて、あなたを天から天下った女神のごとく見ている1人の男に愛されるということは、……それも1つの魅力でしょう。……ある者は自分の劣っていることを認めている。……あなたの一目で幸福をまき散らすということが分かると! ……これには、私たちの寛大の心にかなう善意の一方面がある。
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by bashkirtseff | 2010-04-16 07:49 | 1882(23歳)
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