1881.12.30(Fri)

 終日皆がけんかばかりしていた。
 最後に私は心の平静を取り戻すためにトニーのところへ行って、ポオルの妻の肖像を見せた。彼は取り扱い方が非常に独創的で、良くいってると言った。同情家のフルリは、私の健康が回復したのを見て大層喜んで、しばらく快活に話をした後で、甚だまじめな美術上の問題に話が移り、ことにブレスロオのことを論じた。……「あの人は確かに才能があります。」彼は言った。「才能が豊富です。」
 ああ! 私の感情をここに説明することはとても不可能である! この火とこの熱を……おお! 私は昼も夜も、いつも、いつも、絶え間なく仕事をして、何か良いものを描き上げたい!!! 実際、彼は私に、いつでもやろうと思えばブレスロオと同じくらいの絵は出来るはずだと言ってくれた。実際、彼は私がブレスロオと同じ才能があると思っている。けれども私は泣きたくなる。死にたくなる。どこへでも良いから行ってしまいたくなる。……しかし、本当に行けるだろうか? ああ! トニーは私を信じている。けれども私は自分を信じていない。……私は何か良いものが描きたいと思って精力を消耗した。そうして自分で良く自分の無能が分かっている。……もう私はよそう。──あなたは私の書いてることを文字通りにとって、私が本当に無能だと思うかも知れません。……実際は私は逆に取ってもらえるつもりで言ったのです。
 ああ! 主よ、私が今これを書きながら、どう書いたらばこの苦しみが表せるだろうかと考えている間に、私ほど愚かでないブレスロオはずんずんと絵を描いていることだろうと思われます。
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by bashkirtseff | 2010-03-27 07:58 | 1881(22歳)
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