1881.12.18(Sun)

 ジュリアンと tete-a-tete〔差し向かい〕で、私はありたけの不平を言った。彼は毎日興味をひいた物を絵にしてみてはと言って、私を慰めようとした。──私の興味をひく物とは何だろう? ──今のような私の境涯で何が私の興味をひくと思いますか? ブレスロオは貧乏ではあるけれども、立派な芸術的の空気の中に生きている。マリアの周囲の友達は音楽的である。セッピは下等ではあるけれども、独創的なところがある。それからサラ・ブルウセは、美術家でかつ哲学者だから、カント主義を論じたり、人生を論じたり、le moi〔自我〕を論じたり、死を論じたりして、人に自分というものを回想せしめたり、自分の読んだり聞いたりしたことを、強く印象させたりする。この人たちが皆ブレスロオを助けている。──彼女の住まっているあの Les Ternes で。しかるに私たちの住まっている町はあまりに清潔で、あまりに整っていて、ぼろを着た人間も見られなければ、刈り込まれない木も見られなければ、曲がった街路も見られない。それでは、私には金の不平があるか? ……否、しかし私は、ただ幸福が芸術の発達を妨げるということと、私たちの住まっている周囲は非常に小さな人間ばかりだということを述べておくのである。
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by bashkirtseff | 2010-03-24 07:55 | 1881(22歳)
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