1881.11.02(Wed)

 私たちは1週間前にいたマドリッドへまた戻ってきた。3日ばかりいてロレンゾオの店の写生に手を入れるつもりである。
 この数日来、そのことばかり私から聞いていたにも関わらず、また私が早くマドリッドへ帰りたいと焦っていたことを知っていたにも関わらず、叔母は外出の用意をして出てきて、私に向かって「さあ、今日は買い物にでも行きましょうね?」と言ったことは、全く無理もないことであった。私が絵を描きに行くのだと言ってはなすと、叔母はあきれた顔をして、私をきちがいだと言った。
 突然にある思いつきが浮かんで、あなたが一つの画題を発見しました。あなたは全力を傾けています。あなたの頭に空想が形を取ります。あなたはまず略図を描きます。あなたは調和の良い結合を見いだそうとして頭を悩まします。そうしてまだ形のない、ぼんやりした状態ではあるけれども、ある物をつかんだと思っていると、ちょうどそのとき自分を非常に愛している身内の人がその場に現れて、咳をするたびに気遣います。けれども私は特別に敏感で、こんなことを言っている訳ではありません。私はほかの美術家に比べて自分は非常に実際的だと思っています。……しかしあなたが見る通り私は本当はそれほど実際的ではありませんが。……ああ! 無考えな、気まぐれな家の人たち、彼らには私がもう少し体が弱く、勢力がなく、快活でなかったら、もうとっくに死んでいるはずだということがわからないのである!
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by bashkirtseff | 2010-02-21 19:19 | 1881(22歳)
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