1881.10.06(Thu)

 私はヴェラスケスの手を模写した。私はこの土地のすべての女たちのように、マンチル(婦人の面被)の付いた黒い着物を着ていた。それでも私は皆に見られた、ことにある1人の男に。一体に風儀はイタリアよりもマドリッドの方が悪い。ギターを抱えて窓の下を歩いたり、どこへでも後をつけたり、どこででも話しかけたり、人をしつこく見つめたりする。手紙の交換が教会で行われる。若い娘たちは大概5、6人の崇拝者を持っている。崇拝者たちは婦人に対しては非常に親切で、しかし決して礼儀を越えない。フランス語の意味においての demi-monde〔堕落した婦人〕なるものは存在しない。そういった種類の女は全然軽蔑されている。けれども男は往来で露骨にあなたはきれいですとか、あなたを尊敬しますとか、あなたのお供をさせて下さいとか言ったりする。あなたが身分のある婦人だということを知っていながらも!
 あなたは彼らが自分たちの方へ女を呼ぶために地面に外とうを敷いているのを見ることがありましょう。私はそれを見て非常に面白いと思いました。私はいつも外へ出るときは趣味のある、しかし非常に簡単な服装をしています。すると彼らは皆立ち止まって私を見ます。それで私は生き返ったような気持ちになります。──それは中世期の騎士で色付けられたロマンチックな新鮮な生活であります。……
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by bashkirtseff | 2009-11-20 07:56 | 1881(22歳)
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