1881.07.06(06.24)(Wed)

 絵を描き上げた。今まで私の描いたどの絵よりも良く出来た。ことに首は3度も塗り直して。けれども初めに十分の注意を持って線を引いておかなかったので、腕が少し短く、姿勢に多少不格好なところがあるのを発見した。こんな欠点は避けねばならぬと思う性質が私にはあるので、許されない。私は何度にもそれを分けて描けば良かった。なぜと言うに、幾つも習作を作る方が、足りない腕でこの絵を仕上げるより良かったであろうから。私はいつも父に絵を買ってもらいたいと思っていた。父は私に何にも贈り物をくれたことがなかったから。そうして今私はここに来ているのであるから。けれどもそれは出来ないことらしい。
 村に祭りがあるので、私たちは見に行って、ある限りのボンボンを群衆に投げかけて楽しんだ。ちょうど謝肉祭の金平糖のようである。すべての手が一時に差し伸ばされたときには、見事な光景である。すべての人が同時に地上に伏したときは人間の波のようである。
 群衆は見事なものである!
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by bashkirtseff | 2009-10-13 07:32 | 1881(22歳)
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