1881.05.20(Fri)

 簡単に言うと、私は旅行のことをまたちゅうちょしだした。ポオテエンが今日見に来た。私は父の機嫌をあまり悪くしないようにしてパリに残っていられるように彼の助けを頼んだ。幸いに私は旅行しないで済みそうである。
 けれどもボジダアルが私に致命的の打撃を与えた。「審査委員が今日サロンを見て回って、ブレスロオの絵の前に長くとどまっていた!」私の涙はすでに流れていたのが、これを聞くと早瀬のごとくあふれだした。父も母も私の悲しみの原因はポオテエンに何か言われたからだと思っている。そうして私には本当のことが言えないので、ただ泣いているばかりである。それも泣いた顔をすることも出来なければ、声に出してすすり泣くことも出来ないので、ただ大きな沈黙の涙がこぼれて、甚だしく顔を醜くすることなしに夏の雨のごとく落ちるのみである。
 ポオテエンは別に変わったことは何にも言わないで、私をここに居残られるようにしてくれた。けれどもブレスロオの絵が問題である。それを思うと恐ろしくなる。私はあなたに何と言って話しましょう? ……ポオテエンには私の健康状態を誇張して、家の人たちに右の肺が悪いとだけ言ってもらうように頼んだ。そうすれば父は私が後に残ることをそれほど怒らないであろうから。
 それで今父も母も非常に悲しんで、つま立って歩いている。……ああ! 惨めなことだ! 両親の考慮は私を傷つけ、両親の譲歩は私をいら立たせる。そうしてどこにも頼るところがない。私は何を固持したらよいのだろう? ああ! 絵は気の利いた喜劇である! あなたには、困ってみれば、その訳が分かります。私たちは地平線の上にどんな種類でも輝いた点を持っている限り全然惨めというようなことはありません。私はいつでも自分に答えている、少しお待ちなさい、絵が私たちを助けてくれるでしょう。今では私はすべての物を疑っている。トニーをも信じなければ、ジュリアンをも信じない。苦痛が期待されるのは泣いたためではあるまいか!!!
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by bashkirtseff | 2009-06-15 19:53 | 1881(22歳)
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