1881.04.03(Sun)

パッチが昨日のように生気のある歌い方をしたのを聞いたことはなかった。彼女の声は力と新鮮と光輝で満ちていた。シシリの夕べのボレロ(エスパーニュ風の舞踏曲)はアンコールされた。
 私の神様! 何という美しい声を私も昔は持っていたことでしょう! それは力強く、戯曲的でかつ蠱惑(こわく)的の声であった。それはあなたの背中に寒けを感ぜしめるような声であった。それに今では、何物も残されてなく、何物もうわさされなくなった。
 ──私は良くなるだろうか? 私はまだ若い。多分良くなるだろう。……
 パッチは心に触れない。けれども彼女は人を泣かせることが出来る。彼女の声を聞いていると私は花火を思い出す。昨日はある個所で彼女は驚くべき音律の洪水を注ぎだした。純粋な、光輝ある、微妙な! ……
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by bashkirtseff | 2009-02-19 14:30 | 1881(22歳)
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