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1881.02.07(Mon)

 私の絵は人物の1つのために一時思うように行かなくなっていたが、また順調に進み出した。私は羽根のごとく軽い心持ちである。
 一時に私の主なモデルのヴィルヴィエルとヴリスバアヌが私と一緒にミルリトンの家に行った。
 私は自分が不注意な見方をしていたのか、自分の目が開いているか、カロリュスは進歩しているかを知らない。けれども彼の肖像画、女が赤い着物を着た小さい娘を連れている絵を見て驚いた。私はカロリュスを好まなかった。(去年のサロンに出した彼の赤い子どもと青い女は私を不快にした。)けれども今度の2つの肖像画はこの上もなく美しくできている。私は年取った作り立てた女1人の絵よりも、子どもを連れた女の方を取る。それは非常な驚異である。女は美しくはないけれども、品があって同情が見えて母らしさが出ている。そうして梅色のルイ13世式の服装をして、胸をはだけて光らしている。光線は子どもの明色の頭の上に落ちてその肩に置いている女の右の手で消えている。左の手は扇子を持って無造作に垂れている。真珠が彼女の髪と両腕にある。手先は軽く描かれてあり、下部は顔と胸を引き立たせるためにあっさりと描かれてある。それは苔緑色の背景の上に塗られた見事な光である。何という優れた取り扱い方であろう、幅があって、自然の趣を兼ね備えて!
 私は博物館にあるくすぶった死滅した多くの作品よりもこの方が好ましい。私の好きなバスティアン・ルパージュはアンリ4世の服装をしているガール王(プリンス・オブ・ウェールズ)の顔を描いて、テムズ川とイギリスの艦隊を背景に使っている。背景の調子は「ラ・ジョコンド」(レオナルド・ダ・ヴィンチの「モナ・リザ」)を思い出させる。頭は荒くてホルバイン(ドイツの画家/1497-1543)に似たところがある。あなたはそれをお取りになるか知らないが、私は感心しません。なぜ模倣したりするのでしょう?
 それは模写であるかというのに、模写ではないけれども、実に良く模倣している。……私はそれを好まない。
 おお! 私もカロリュス・デュランのように描けたら! ……これが私の望ましいものを見いだして自分で描きたくなった最初である。それを見た後では、その他のものは皆卑しく汚くかつ乾燥無味に見える。
by bashkirtseff | 2009-02-14 14:15 | 1881(22歳)
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