1881.01.26(Wed)

 火曜日にアトリエから帰ってくると熱が出た。それで7時まで火もつけないで、いすに掛けて震えながら半分目を覚ましたままじっとしていた。目の前には私の絵がありありと見えながら。ちょうど前週の間毎晩見えていたように。
 あなたに知っていただかねばならぬが、A…はアトリエの向こうの端に席を占めて、私の絵を逆にしたのを描いている。そうして彼女が私を追い越そうと思う時には、いつも寸法を測ってそれをやっていこうとする。その伸ばした腕、木炭の切れを持った手、その黒い透視線、それらのものが私の絵の前で私の目の中で踊っている。
 牛乳を少し飲んだきりで、夜は尚と悪かった。目覚まし時計をかけてあったので私は眠れなかった。けれども絵がいつもそこにあって、私は絶えず頭の中で仕事をしていた。しかし私は良いものを滅ぼそうとするある超自然の力に強いられて、自分のなすべきことの反対をしていた。おお! 恐ろしいことであった。私はじっとしていることが出来なかった。それは夢だと考えようとしても、駄目であった。これは熱に浮かされているのではあるまいか? ……私は自分で自分に聞いてみた。私はそうだと思った。今では心や手足が疲れているのでさえなければ、別に気にする必要もないことが分かっている。
 しかしその中で1番不思議な部分は、私が描き直した人物の1人に対してジュリアンの忠告を与えてもらおうと思って待っているように感じたことであった。
 昨日彼が来て私は非常な失策をしたと言った。私は夢の前に良かった部分を皆消してしまったのであった。
 そうして昨夜不思議にも私は非常に良く耳が聞こえた。
 私は打ち砕かれたような気持ちである。
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by bashkirtseff | 2009-02-13 14:57 | 1881(22歳)
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